水沢アキと破局した国広富之が山口百恵と「赤い絆」で恋人役!
昭和52年12月
山口百恵主演の赤いシリーズ≠ェ約1年ぶりに復活した。
赤いシリーズ第6弾「赤い絆」だ。
「赤い絆」
今回の山口百恵の恋人役は国広富之。
TBSドラマ『岸辺のアルバム』でデビューし、その甘いマスクで一躍人気者になった若手俳優だ。
しかし、山口百恵の相手役と言えば三浦友和。
国広富之では、やはりどうにもしっくりこないというのが百恵ファンの偽らざる心境だろう。
とはいえ、半年前に放映された赤いシリーズ第5弾「赤い激流」で山口百恵は単なるゲスト出演に終わったことから、
「赤いシリーズは山口百恵のものではなくなったのか?!」
といった危惧感がファンの間に浸透していた。
そんな不安を掻き消すように、赤いシリーズ第6弾の「赤い絆」が山口百恵主演で決まった。
相手役が三浦友和ではないにせよ、とにかく赤いシリーズに山口百恵が主役として戻ってきたことにファンは一安心したのだ。
そのためか、相手役が国広富之であることには、そこまでファンの反感は大きくなかった。
このドラマの中で山口百恵は、また新たな顔≠見せた。
山口百恵演じる「小島恵子」はいわゆる不良少女≠セ。
自分の実の母親がかつて娼婦だったことを知った恵子は家を飛び出し、荒れた生活を送る。
ヤクザとの対決する等のアクションシーンもある。
あの山口百恵がアクションシーンを演じるのだ。
かげりのある女性は過去に度々演じてきた百恵であるが、暴力的なシーンを演じることはこれまではなかった。
それでも百恵は
「夢中でやっていたので痛さなんて感じないわ」
と、体のあちこちにアザを作りながらアクションシーンに挑戦していたという。
山口百恵のイメージをこれほどまでに打ち破った作品は、これまでになかったであろう。
しかし、百恵以上に苦労したのは国広富之だったかもしれない。
デビュー作『岸辺のアルバム』で売れたと言っても、まだまだ駆け出しの新人俳優。
それがいきなり山口百恵≠フ恋人役だ。
山口百恵の恋人役と言えばゴールデンカップルの三浦友和と決まっている。
これまで三浦友和以外の俳優で山口百恵の恋人役となった南条豊、佐久田修、江藤潤。
いずれも、百恵との共演後、役者として伸び悩んでいる。
特に、南条豊などは百友ファンから相当の反感を買った。
普通に考えれば国広富之も自分も同じ轍を踏む≠ニ感じるはずだ。
相当のプレッシャーだったことは想像に難しくない。
しかも、このドラマの撮影スケジュールが尋常ではなかった。
なにしろ主演の山口百恵は女優としてだけでなく歌手としても当時のナンバーワン。
とにかく、芸能界は山口百恵を中心に回っていたといっても過言ではない。
「赤い絆」の撮影スケジュールも当然に山口百恵を中心に決められる。
ドラマの撮影中に百恵の歌番組出演が入り、その間、百恵は現場を抜け、他の共演者や撮影スタッフはひたすら百恵の帰りを待つ。
そして、深夜遅く百恵が戻ってきたらまた撮影開始。
それが日常茶飯事であった。
あの八千草薫ですら、百恵のスケジュールに合わせて待機させられたのだ。
新人俳優の国広富之に対してなど何の配慮もあるはずはない。
そんな先の読めないスケジュールの中でも、国広富之はカメラが回ると完璧な演技を要求されたのだ。
しかし、国広富之は山口百恵の恋人役「志摩信夫」を見事に演じ切った。
ストーリーそのものの完成度の高さもあったのだろうが、意外にも山口百恵と国広富之のカップルに対するファンの評判は良かった。
国広富之は山口百恵≠ニいうとてつもなく高い踏み台を乗り越えたのだ。
その後の国広富之の活躍は言うまでもないだろう。
人気ドラマ『噂の刑事トミーとマツ』での松崎しげるとの名コンビ、大河ドラマ『草燃える』での源義経など、人々の記憶に残る名俳優に成長していった。
「トミコ〜!!」
また、女優水沢アキと結婚直前で破局するといったところも国広富之の運の強さなのかもしれない。
とにかく、国広富之は三浦友和以外で山口百恵の恋人役を演じて上手くいった唯一の俳優と言って良いのだ。
「赤い絆」
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