千家和也作詞「ひと夏の経験」が社会現象に!山口百恵は芸能界におけるトップスターの地位を確立した
「青い果実」のヒットによって人気歌手の仲間入りをした山口百恵。
その後に出したシングル「禁じられた遊び」「春風のいたずら」も順調に売り上げを伸ばしていった。
しかし、「あなたが望むなら私何をされてもいいわ」の歌いだしで世間に衝撃を与えた「青い果実」に比べると「禁じられた遊び」「春風のいたずら」は今一つインパクトに欠けていた。
山口百恵が歌う青い性≠ノ世間が慣れてきていたのだ。
このままでは山口百恵が飽きられてしまう
山口百恵が歌う楽曲はデビュー曲の「としごろ」からずっと作詞・千家和也、作曲・都倉俊一のコンビで作られていた。
そして5枚目のシングルも千賀・都倉のコンビで作ることに決まっていた。
だが、都倉俊一と千家和也は危機感を抱いていた。
そこで都倉と千家は、山口百恵の5枚目のシングルを作成するに際して綿密な打ち合わせをし、さらに過激な歌を作ることで合意した。
この打ち合わせの一週間後。
作曲家・都倉俊一のもとへ、千家和也が作詞した歌が届いた。
あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ
これは都倉俊一の予想を上回る過激な歌詞だった。
しかし、都倉は戸惑いながらも、山口百恵の可能性に賭けてこの歌詞に曲を付けた。
千家と都倉は山口百恵のさらなる飛躍を信じていたのだ。
山口百恵は淡々と歌った。
無表情で、抑揚をつけず、むしろ投げやりだとすら受け取れるような感じで、15歳の山口百恵が「ひと夏の経験」を歌った。
質素な衣装、清楚な顔立ちの山口百恵と、過激な歌詞とのギャップ。
その反響は「青い果実」の比ではなかった。
レコード会社、プロダクションに抗議の電話、非難の手紙が連日にわたり大量に寄せられ続けた。
マスコミも騒ぎ立てた。
山口百恵の歌う「ひと夏の経験」は社会現象になっていったのだ。
だが、批判の声が上がれば上がるほど、レコードは売れていった。
山口百恵のメディアへの露出も激増した。
全ては計算通りだった。
千家和也と都倉俊一が目論んだ通りに、山口百恵は大きな飛躍を遂げたのだ。
あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ
「ひと夏の経験」
オリコンチャート最高位3位。レコード売上44万6千枚。
他のアイドルが歌う歌の中で群を抜いた大ヒット作となった。
山口百恵は「ひと夏の経験」で不動のトップスターの地位を確立した。
* YouTube動画「山口百恵史チャンネル」の視聴者様から以下のコメントをいただきました。
貴重な情報であり、百友ファンの皆様に喜んでいただけると思いましたのでコメント主様の承諾のもとシェアさせていただきます。
都倉俊一の著書『あの時、マイソングユアソング』(新潮社 2008)に、「ひと夏の経験」が生まれる瞬間について書いてありますよ。この本は、『週刊新潮』に連載した「マイ・フレーズ」というコラムをまとめたものです。
レコーディング当日、都倉さんは百恵ちゃんに自由に歌わせます。
結構意味深な言葉も彼女が歌うといやらしさを感じない、それでいて「意味深」なのである。途中でわざと「オイ、もっと色っぽく歌えないのか」などとチャチャを入れてみると、彼女も「すみません、やってみます」と素直にやろうとする。やってみてもあまり変わっていない。変わらなくて結構、百恵の演じる「ひと夏の経験」の完成なのである。
そして、都倉さんは、「モモ、今度の三浦君てとてもいい感じじゃないか」と話題を向けます。「ハイ、でもいつも意地悪ばっかりするんです」少しはにかむその表情は何か尋常ではない。「この子は恋をしている!」直感的に私はそう思った。彼女の胸のときめきがこちらにも伝わって来るようであった。
と、述べています。
百恵ちゃんの恋の目撃者ですね。
懐かしいあの時代の歌に纏わるお話をたっぷり感じることができますので、皆さんにご紹介します。
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