潮騒の島$_島にこだわった三島由紀夫の作品で山口百恵が再び主演女優に
大女優への登竜門と言われた「伊豆の踊子」で見事に主演を演じた山口百恵に2作目の映画主演が決まった。
三島由紀夫原作の「潮騒」がそれだ。
この映画も、それまでに青山京子、吉永小百合、小野里みどりといった有名女優によって映画化されている。
「伊豆の踊子」が大ヒットしたとはいえ、百恵にとっては「潮騒」の主演も大きなプレッシャーだったに違いない。
そして、それは三浦友和にとっても同様であっただろう。
いや、あるいは百恵以上に重圧は大きかったかもしれない。
歌手としてメジャーになった山口百恵。
その山口百恵主演の「伊豆の踊子」の相手役となったことで初めて世間に注目されるようになった三浦友和だ。
1作目がヒットしたからと言って、2作目の「潮騒」が不評であれば、次はないかもしれない。
すでにトップスターとなっていた百恵と違って、この時の友和は、あくまでも「百恵の相手役」としてのポジションでしかなかったのだから。
後に、三浦友和は、「伊豆の踊子」の公開直後の心境を自叙伝「相性」の中でこう語っている。
これはいい加減にできないぞ、と思いました。
「嫌なら辞めればいい」と思っていた自分の投げやりな態度が、恥ずかしくなりました。
「いい役者になりたい」
俳優といての自覚が、この時初めて生まれました。
山口百恵で4度目の映画化となった「潮騒」であるが、
過去の3作品はいずれも「神島」がロケ地となっている。
当時の神島の人口はわずか千百人。
三重県鳥羽市の沖合にある小さな美しい島だ。
そして、神島に住む人の家には、そのほとんどに三島由紀夫の原作本が置いてあったという。
神島はいわば潮騒の島≠セ。
三島由紀夫は「ロケ地を神島にすること」を「潮騒」映画化の条件としてした。
そのため、百恵が主演した「潮騒」も当然、神島で撮影されることになった。
百恵が海女としてアワビを獲る場面や、あの有名な友和とのキスシーンは、その美しい島と海で撮られたのだ。
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