「赤い死線」のあらすじ
昭和55年11月7日と14日
前月15日の山口百恵の引退で全日本国民が深い喪失感を抱いている中、山口百恵最後の主演テレビドラマ「赤い死線」が放送された。
「赤い死線」
金曜日の夜であるにもかかわらず全国民は仕事が終わると家に直行し、テレビの前に座った。
失われたはずの山口百恵にもう一度会うために。
では、「赤い死線」のストーリーを簡単にご紹介しましょう。
女手一つで育てられた川波良子(山口百恵)はバレリーナになる夢を叶えるため母を残して故郷の北海道襟裳から上京し有名バレエ団に入り、日々レッスンを続けていた。
しかし、母が病気になったことから、良子は母に仕送りをするため、ナイトクラブ「ミルキーウエイ」でゴーゴーダンサーのアルバイトを始めた。
しかし、良子のバイトがバレエ団に知れてしまい、良子はバレエ団を辞めさせられることとなった。
だが、娘が一流のバレリーナになることを信じていた母を悲しませたくなかった良子は、バレエ団を辞めたことを母は知らせず、そのまま東京に残ってナイトクラブのダンサーのバイトを続けていた。
しかし、良子の心は荒んでおり、本心では故郷の北海道襟裳に帰りたかったのだ。
ある夜、良子がバイトしているナイトクラブに金持ちおやじのビルオーナーである江藤(高橋昌也)がやってきて良子にからんできた。
そんな江藤の元へ「1000万円を返してくれ!」と青年が詰め寄ってきた。
青年の名は北村明夫(三浦友和)
明夫は江藤の計画倒産の策にまんまと嵌められ、江藤に1000万円を騙し取られていた。
江藤に殴りかかろうとする明夫。
しかし、江藤は明夫を全く相手にしようとせず、明夫はクラブのスタッフにつまみ出された。
江藤は明夫の他にもたくさんの人間を騙し、大金をもぎ取っていた。
江藤を恨んでいる男、女は無数にいた。
どうしても金が必要だった明夫は江藤の事務所に押し入り、江藤の金庫から1000万円を奪っていった。
江藤は慌てる様子もなく、警察に電話をし、明夫が金を盗んでいったと通報した。
クラブの仕事を終えた良子(山口百恵)はアパートに帰り、母親に手紙を書いていた。
そこへ、ある男が勝手に忍び込んできた。
その男は警察に追われていた明夫(三浦友和)だった。
突然に男が入ってきて動揺する良子。
がしかし、その男がついさっきナイトクラブで江藤に殴りかかっていた男であることに気が付いた。
明夫もまた良子が書いている手紙に気が付いた。
あて先は襟裳。
それを見て、明夫は目の前にいる女が故郷で幼馴染だった川波良子であることに気が付いたのだ。
10年ぶりに再会した良子と明夫。
二人はそれぞれの事情を話した。
そして、良子は明夫に勝手に持ってきた1000万円を返すように諭した。
明夫は納得し、金を返した後、良子と二人で翌朝飛行機に乗って故郷の襟裳に帰ることを約束した。
良子と明夫は1000万円を持って江藤の事務所に向かった。
深夜の事務所に入るため、良子はビルの守衛をしている堀田(松村達雄)を騙して江藤の事務所の鍵を盗み、明夫に渡した。
鍵を使って江藤の事務所に侵入した明夫。
しかし・・・
そこにはハサミで背中を突き刺されて死んでいた江藤の死体が転がっていた。
慌てて事務所を飛び出た明夫。
しかし、その姿を守衛の堀田に目撃されてしまった。
堀田は江藤殺しの犯人として明夫を警察に突き出そうとした。
しかし、良子と明夫は北海道行きの飛行機に乗るために、堀田を監禁して翌朝までに真犯人を探し出すことにした。
江藤が殺された現場から様々な証拠が見つかり、怪しい人物が何人か浮かんできた。
江藤に土地を騙し取られた鈴木一郎(山本學)、売春を勧められた野中令子(松原智恵子)、江藤に体を弄ばれたケイ(アン・ルイス)とケイの恋人のトオル(ジョニー大倉)。
しかし、そのいずれにもアリバイがあり、真犯人ではなかった。
当てがはずれて途方に暮れる明夫と良子。
しかし、明夫はあることに気が付く。
明夫が江藤の死体を発見した時、事務所の部屋には鍵が掛かっていた。
ということは、江藤殺しの犯人は江藤を殺した後、鍵を使って事務所の部屋に鍵を掛けて逃走したはず。
江藤の事務所の鍵は二つ存在する。
一つは死んだ江藤のポケットにあった。
では、もう一つの鍵は・・・
そう。
良子が鍵を奪った相手、つまり守衛の堀田が持っていたことになる。
明夫は堀田の元へ行き、堀田を問い詰めた。
最初はしらばっくれる堀田。
しかし、言い逃れできないと悟った堀田は明夫を窓から転落させようとした。
が、明夫に取り押さえられ堀田は警察に連行された。
鈴木刑事(三國連太郎)の前で堀田は犯行を自供した。
実は明夫は5年前までビルのオーナーだったが、江藤に騙されてビルを手放すことになり、泣く泣くビルの守衛として生きていた。
堀田もまた江藤を殺したいほど憎んでいたのだ。
殺人の容疑が晴れて明夫と良子は警察署を出た。
朝一番の北海道行きの飛行機になんとか間に合う時間だ。
そこへ、たまたま空港に向かっているという中年紳士(宇津井健)に出くわした。
その中年紳士は明夫と良子に「車で空港に送りましょう」と言った。
中年紳士と良子と明夫は車で空港に向かった。
なんとか出発の時間前に空港に着いた良子と明夫は胸を撫でおろした。
そこへ、制服を着た中年紳士。
なんと、車で送ってくれた紳士は北海道行きの飛行機のパイロットだったのだ。
良子と明夫は笑顔で東京を後にした。
二人は故郷の襟裳で新しい人生を歩みだすのだ。
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