日本テレビ音楽祭で「愛の嵐」の山口百恵がトップアイドル賞を受賞!!
昭和54年8月23日
第5回日本テレビ音楽祭が開催された。
毎年夏に開催されるこの歌謡賞レースには、その年にヒット曲を飛ばした蒼々たる歌手が一斉に出場する。
第5回目となる日本テレビ音楽祭の出場歌手もまさに豪華そのものだった。
郷ひろみ
「いつも心に太陽を」
小林幸子
「おもいで酒」
西城秀樹
ジュディ・オング
「魅せられて」
野口五郎
八代亜紀
「舟唄」
中原理恵
渡辺真知子
「別れてそして」
サザンオールスターズ
「いとしのエリー」
などなど。
昭和の歌謡史に燦然と輝く大物歌手ばかりが一堂に会した。
この日本テレビ音楽祭では最も優秀と認められた楽曲に与えられる「グランプリ」、歌唱力に優れた歌手に与えられる「歌唱賞」、将来性が期待できる歌手に対して授与される「金の鳩賞」など様々な賞があるが、視聴者が最も注目していたのが雑誌『月刊明星』読者の投票により決定する「トップアイドル賞」だ。
他の賞は誰がどういった選考基準で選ぶのか不透明なところがあるが、この「トップアイドル賞」はファンの直接投票によって決まるのだから最も民主的な賞といえる。
ある意味「グランプリ」以上に価値がある賞と言ってもいいだろう。
しかし、この年のアイドル賞レースは熾烈を極めていた。
ノミネートされたアイドルの顔ぶれを見てほしい。
石野真子
「ワンダー・ブギ 」
渋谷哲平
ピンク・レディー
「波乗りパイレーツ」
榊原郁恵
「ラブジャック サマー 」
桜田淳子
「 MISS KISS」
まさに圧巻。
まとめて叩き売らなければ商売にならない現代のアイドルとは違い、この当時のアイドルには一人一人に圧倒的な存在感、代替性のない価値があった。
例えばブギウギ・シュワッチ ブギ・ドゥワー〜♪≠ネどと歌っていたのが石野真子でなければウルトラマンの妄想にとりつかれた頭のいかれた女と思われ病院送りにされていたに違いない。
胸ゆれゆれサーファーガール〜♪≠ネどと歌いながら踊っていたのがピンクレディー以外のユニットだったら間違いなく公然わいせつ罪で逮捕されていたはずだ。
とにかくこの時代のアイドルはそれぞれが唯一無二の存在≠セったのだ。
しかし、この絢爛華麗なメンバーの中にあってもひと際輝きを放っていた歌手がいた。
そう。
山口百恵だ。
「愛の嵐」
「炎」と書いてジェラシー
並みいるアイドルをまさに嵐で吹き飛ばすように圧倒していた山口百恵。
どんなに歌が上手くても、どんなに可愛いルックスをもっていても山口百恵に勝てるアイドルは存在しなかった。
当時のアイドルは誰しもが山口百恵に対して炎を燃やしていたに違いない。
受賞者の発表の瞬間が来た。
「いま日本で一番名前が知られているスターに『トップアイドル賞』が与えられます!!」
山口百恵が「トップアイドル賞」を獲得するのは火を見るよりも明らかだった。
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